野田麻美・靜岡県立美術館編《輞川図と蘭亭曲水図》出版

野田麻美・靜岡県立美術館編《輞川図と蘭亭曲水図》出版

モウセンズトランテイキョクスイズ

輞川図と蘭亭曲水図

イメージとテクストの交響

野田麻美・靜岡県立美術館 編

ISBN 978-4-585-37009-3 Cコード 3071
刊行年月 2023年5月 判型・製本 A5判・上製 304 頁
キーワード 美術,古典,中國,東アジア,近世

定価:10,450円 (本體 9,500円)

東アジアにおける文學・書・畫の世界を考えるうえで、とりわけ重厚な二つの畫題―「輞川図」と「蘭亭曲水図」。
文人畫の祖とされる王維、書聖として崇められる王羲之にまつわる故事を絵畫化するなかで、園林を舞臺とする文人たちの交流はいかにして描かれ、その風景表現はどのように展開したのか。
2021年に修理を終えた靜岡県立美術館所蔵の「輞川図巻」をはじめ、近年注目を集める「蘇州片」や、久隅守景、池大雅、富岡鉄斎らの優品など、中國と日本、そして、宋代から近代に至るまでの王維・王羲之イメージを精査・検討。
諸分野の第一線の研究者による論考とカラー図版を含む120點超の書畫資料より、イメージとテクストの連環が織りなすダイナミックな世界を照らし出す。

目  次

カラー口絵
 01 「輞川図巻」
 02 伝趙伯驌「仙山樓閣図巻」
 03 伝仇英「上林賦図巻」
 04 伝文徴明「瀟湘八景図巻」
 05 狩野永納「蘭亭曲水図屏風」
 06 久隅守景「鍋冠祭図押絵貼屏風」
 07 久隅守景「蘭亭曲水図屏風」
 08 久隅守景「山水図」
 09 池大雅「山中訪隠図屏風」
 10 池大雅「倣巨然 稲荷山図」(京都名勝六景のうち)
 11 池大雅「蘭亭曲水・龍山勝會図屏風」
 12 池大雅「倣董太史 富嶽図」
 13 「輞川図巻」(部分)
 14 「輞川図巻」拓本
 15 謝時臣「輞川積雨図」
 16 盛茂燁「秋山観瀑図」
 17 唐棣(款)「輞川図巻」
 18 富岡鉄斎「輞川舊蹟図」
 19 狩野安信「蘭亭曲水図屏風」
 20 池大雅「蘭亭曲水図屏風」
 21 貫名菘翁「臨蘭亭序」

はじめに 野田麻美

第一部 輞川図をめぐる諸問題――元~明代/近代日本の輞川図と『輞川集』
絵畫における王維『輞川集』――元明の畫論・畫評を中心に 紺野達也
靜岡県立美術館本からみる輞川図の展開  呉孟晉
模倣か空想か、複製か贋作か――「蘇州片」をめぐる諸問題 板倉聖哲
明代蘇州における輞川憧憬の諸相 植松瑞希
日本近代における南畫の危機意識と「輞川図巻」・王維の再評価――富岡鉄斎から小室翠雲まで 塚本麿充

第二部 蘭亭曲水図をめぐる諸問題――明代/江戸時代の蘭亭曲水図と『蘭亭序』
蘭亭曲水図の表現――明代中期から江戸中期へ 佐藤康宏
【コラム】 大雅作品に見る烹茶場面の添景について――靜岡県立美術館所蔵「蘭亭曲水・龍山勝會図屏風」を中心に 橫尾拓真
久隅守景「蘭亭曲水図屛風」試論――江戸狩野派の蘭亭曲水図にみる遊宴図像の展開 野田麻美
【コラム】 宋代以降の王羲之書法の継承 六人部克典
【コラム】 江戸時代の「蘭亭序」 髙橋利郎

「輞川図と蘭亭曲水図」展カラー口絵 作品解説
「輞川図と蘭亭曲水図」展 展示リスト
おわりに 野田麻美
執筆者紹介

野田麻美(のだ・あさみ)
1979年生まれ。神戸大學大學院人文學研究科専任講師・靜岡県立美術館客員學芸員。
専門は日本美術史(近世絵畫)。
著書に『美しき庭園畫の世界――江戸絵畫にみる現実の理想郷』(靜岡県立美術館、2017年)、『忘れられた江戸絵畫史の本流―江戸狩野派の250年/江戸狩野派の古典學習――その基盤と広がり』(靜岡県立美術館、2021年)、論文に「江戸狩野派による雪舟學習をめぐる諸問題――倣古図の分析から」(『天開圖畫』11號、2019年)などがある。

(感謝蠻力胖胖先生)

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