周縁の三國志 非漢族にとっての三國時代
東方選書60【最新刊】
関尾史郎
出版社:東方書店
出版年:2023年05月
コード:22307 320p
ISBN/ISSN 9784497223074
アウトサイド三國志中國世界の統一をめざす曹魏、孫呉、蜀漢の三國に周縁の諸勢力はどのように対峙したのか。烏桓、山越、鮮卑、高句麗、氐、西南夷、クシャン朝、倭について、史料を徹底的に読み込んで考察する。秦の始皇帝から後漢の獻帝まで450年近く続いた統一が瓦解し、曹魏、孫呉、蜀漢に分裂した三國時代と、これに続く両晉・南北朝時代は中國史上でも有數の分裂時代であった。実質的には300年近くに及んだ政治的な分裂は、中國世界の內部だけではなく、外部すなわち周縁に位置していた諸種族や諸國家に対してもさまざまな影響を與えることになった。ある勢力はこのような狀況を利用して中國王朝との関係を強化し、また中國王朝の側でも周縁の勢力との関係強化につとめる動きが活発化していった。倭王卑彌呼による曹魏への遣使や、倭の五王による南朝への遣使もこの時代のことである。しかし周縁にあった全ての勢力がこの分裂の時代をしたたかに生き抜いたわけではない。本書は、三國時代の非漢族のうち、烏桓、山越、鮮卑、高句麗、氐、西南夷、クシャン朝、そして倭を取り上げ、それぞれにとっての三國時代について、『三國志』に代表される史書を読み込みながら考えてみたものである。
目 次
凡例――まえがきにかえて
序 章 「東アジア世界」と三國時代
第一章 三國鼎立と非漢族
はじめに
一 烏桓
二 山越
おわりに
第二章 鮮卑と高句麗
はじめに
一 鮮卑
二 高句麗
おわりに
第三章 諸葛亮の「隆中対」
はじめに
一 「隆中対」を読む
二 氐
三 西南夷
おわりに
第四章 クシャン朝と倭
はじめに
一 クシャン朝
二 倭
おわりに
終 章 非漢族にとっての三國時代
あとがき
引用史料
參考文獻
■編著者紹介
関尾史郎(せきお・しろう)
1950年神奈川県橫須賀市生まれ、1974年上智大學文學部史學科卒業、1980年上智大學大學院文學研究科史學専攻博士課程単位取得退學。魏晉南北朝時代を中心とした中國古代史、中國古代史料學が専門。東京大學事務補佐員、新潟大學人文學部教授などを経て、現在東洋文庫研究員・新潟大學名譽教授。著書に『西域文書からみた中國史』(山川出版社)、『もうひとつの敦煌』(高志書院)、『三國志の考古學』(東方書店)、『三國志拾遺』正・続・補(Nakazato Labo、電子版)、編著に『環東アジア地域の歴史と「情報」』(知泉書館)、『湖南出土簡牘とその社會』、『簡牘が描く中國古代の政治と社會』、『磚畫・壁畫からみた魏晉時代の河西』、『後漢・魏晉簡牘の世界』(以上、共編・汲古書院)など。
(感謝戚逸暘先生提供信息)
関尾史郎編《河西魏晉・〈五胡〉墓出土図像資料(塼畫・壁畫)目録》出版
關尾史郎、町田隆吉主編《磚畫・壁畫からみた魏晉時代の河西》出版
関尾史郎《三國志の考古學:出土資料からみた三國志と三國時代》出版
關尾史郎主編《新出簡牘資料による漢魏交替期の地域社會と地方行政システムに関する総合的研究》出版
藤田勝久、關尾史郎主編《簡牘が描く中國古代の政治と社會》出版